10年ほど前、初めてオーダー靴を作ることになり、友人で整形外科医の竹中先生に連れられて青山の小さなお店にいくと、人なつっこい笑顔の小柄なイタリア人Stefano Bermerさんがいました。
そこにある一足の真っ赤なパンプス!その美しさは見事で、踵部から内側ラインと外側のふくらみが、先端のつま先部でシュッと収束しているところは、一昔前のスポーツカーのように精悍でした。 お洒落だなぁと思いながら、オートクチュールがなんと一足45万円! 竹中せんせぇええ〜〜むり〜〜〜 と思っている間もなく、Stefanoが「セニョ〜ラ」と僕の近くに寄ってきて足の採寸が始まりました! まぁ計るだけねっ! すると、じーっと僕の足をそれこそ地面に這いずるように観察し始める!ちょっと近すぎない?それに折角のお洒落なパンツの膝が汚れる!と心配していると、今度は両手で僕の足を包み込むように触れてきた! で、 “完璧だ!大丈夫!” Stefanoがプレタポルテの木靴を持ってきて、 “ねっ、君のために作られた型のようにぴったり!” 更に耳元で「日本で作る必要ないよ!型はプレタでぴったりだから、フィレンツェで安く作ろう!」とウィンクしながら言ってくれました。 とにかくお洒落で格好良く、全く疲れない!何年履いても靴にガタがこない! いつでも最初に履いたときと同じように、シュッッと心地よい鋭い風きり音を残して足を包んでくれる! 職人技って凄いなぁあといつもStefanoを使うたびに感じていました。 そのStefano Bermerさんが、今夏46歳という若さで急逝されました。 彼の工房を訪れてStefanoのお店に入って12年いらっしゃる板東雅子さんやお兄さんのMarioとお話することができました。沢山の木型を見ながらStefanoの優しい笑顔とごつごつしてやや小さめの手のひらを懐かしく思い出していました。ご冥福をお祈りします! そして、Stefanoブランドが一日も早く復活することを期待しています!
by conan-aibo
| 2012-11-03 15:23
| 四方山話
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