最近外で経験した症例で、所謂やせ薬の副作用かも?という弁膜症手術の物語!
担当させたれた症例は本当に残念なくらいやせ薬が効かなかった65歳女性、150cm92kg、凄い体型でした。(あっ!日本人でないからね) Central lineを入れるときも、体幹の脂肪を幅10cmぐらいのテープで尾側にひっぱって漸く“首”が出てくる始末!え〜これをMICSでって? 鼠径部のpunctureも大変!これまたテープでおなかの脂肪を胸側に引っ張り上げて漸く鼠径部が出てきた!しばらくぶりって感じで、よってたかって消毒しまくる!ここら辺でめげそう! とはいえ、ここで引き下がっては日本男児の名折れじゃ〜 ということで、右側開胸に移ったのが運の尽き! 乳房かなにか解らん脂肪のかたまりというか重くて大きな枕みたい組織を左手というか左腕全体で支えて、汗だくになりながらの開胸! すでに、日本男児って誰?こころが折れそう! 漸く心臓とご対面! で、このかわいそうな患者は僧帽弁狭窄症だったのですが、パッとみたところはリウマチ性のごとくfish mouth! 形成しようと思い弁尖融合しているところにメスを入れると、ドロ〜っとクリーム状のアテローマの中身が出てくる!! えええ!うそやろ!!ええええええっとここは日本語が出現!(その施設で“うそやろ〜”が流行語になってしまった!) それが弁輪まで続くという悪夢のような状態でした。 うそだと言って誰か! 仕方ないので弁置換に移りましたが、これまた悲しいくらいに弁輪がまったくflexibilityがない!更にはリウマチ性のように石灰化病変がないので、処理をして広くなる要素がない! おおお!おかあさ〜ん! 弁輪ぎりぎりにevertingで糸をかけると“ドロ〜地獄”(涙!)、洗って拭いて、拭いて洗ってを繰り返しながら、後尖部を縦方向に割を入れて、左房の組織をすくい上げて糸をかけて、なんとか27mm人工弁で置換しました。 カルテからは、原因としてfen-phen(?) またはChinese medicine (?) ってことでしたが、ありとあらゆるやせ薬を飲んでいたみたいでした。他にやせる方法考えなかったのかねぇ〜調べると日本でも4名ほど「御芝堂減脂膠嚢」とかいう薬で4名の死亡が報告されているけれど、やっぱりこんな状態だったのかなぁ? こっちはおかげで、その日の2例目のバイパスでは筋肉痛で左手がびりびりくる始末!踏んだり蹴ったりのMICS MVRでした! やせ薬服用既往のあるはっきり原因のわからない弁膜症は要注意ですねぇ〜
by conan-aibo
| 2012-10-29 06:51
| 手術
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